イルカの漁には反対?和歌山太地町ではなぜ追い込みをするの?

2009年に公開され、
アカデミー賞を受賞した
映画『ザ・コーヴ(The cove)』。

日本で行われる「イルカ漁」を
きわめて批判的に取材
した
このドキュメンタリー映画によって、

古式捕鯨発祥の地として名高い
和歌山県太地町は、
世界中から大バッシングを
受けることになりました。

そうした国際的な騒動がありながらも
今も続くイルカ漁に対して、
皆さんはどのように感じていますか?

あの可愛らしいイルカを
捕獲して食べたりする地域があることに
抵抗感を覚える方もいると思います。

しかし、地域に暮らす人々にとっては
イルカは生活の貴重な糧であることも
事実なのです。

そこで今回の記事では、
日本で行われているイルカ漁の賛否について
皆さんも一緒に考えていきましょう。

日本でイルカの漁が行われている場所は?

イルカ漁は世界各国の地域で
行われているもので、

日本国内でも和歌山県のほか
青森、岩手、静岡、沖縄の各県に
イルカ漁の伝統が残っているそうです。

いずれも海に近い地域ですね。

これらの地域では
イルカを食べる習慣もあり、

大型スーパーなどに行くと
パックに入ったイルカの切身が
販売されているのだとか。

どんな味がするのか、
どのようにして調理するのか、
少し気になりますね・・・。

太地町はイルカ漁がなぜ盛んなの?

先述のとおり、
日本でもイルカ漁を行っている地域は
いくつかありますが、

映画『ザ・コーヴ』の公開によって
世界中の批判の的となってしまった
和歌山県太地町。

では、太地町ではなぜ
イルカ漁が盛んに行われるように
なったのでしょうか。

太地町は人口約3,500人ほどの小さな町で、
紀伊半島の東海岸沿いに位置します。

この地方は山が非常に多いため
耕作地に乏しく、

周辺に暮らす人々は古くから
沿岸に来遊するイルカや鯨を食料として
厳しい環境に対応してきたそうです。

また、捕獲したイルカは
余すことなく活用されており、

肉を食料とするだけでなく
脂肪は油採取に、革は靴などの革製品に、
その他の部分は工芸品の材料として
用いられてきたといいます。

1933年頃には、
水族館の展示用や研究用として
国内外に出荷されるようにもなりました。

つまり、イルカ漁は
太地町の地域経済に欠かせない
重要な産業のひとつなのですね。

太地町では今でも
イルカたちがもたらす恵みに感謝を込めた
供養祭などの行事が行われているそうです。

イルカ漁に批判が多い理由は?

人々の生活と地域の経済を
長年にわたって支え続けてきた
太地町のイルカ漁が、

ここまで批判されるのは
一体なぜなのでしょうか。

その理由はひとえに
「イルカが可哀想だから」に他なりません。

確かに愛嬌たっぷりの
可愛らしいイルカを食べたりすることを
残酷だと感じる方は少なくないと思います。

しかし、私たち日本人は古来から
動物を捕獲して食料にしたり
革を衣類にしたりして
暮らしてきたはずですよね。

なぜイルカだけが
「可哀想!」となるのでしょうか。

それには、
イルカの知能の高さと社会性が
大きく関係しているようです。

イルカは非常に賢い生き物として
知られていますが、

実際にイルカの脳は大きくて重く
体の大きさに対する脳の割合は
私たち人間とほぼ同じくらいだとか。

そのため、人間と同じように
痛みや恐れを感じるそうで、

漁で追い回されたりすることに
大きな恐怖やストレスを感じている
可能性があるのだそうです。

また、イルカは仲間意識が強く、
漁で捕らわれた仲間を
助けに行くこともあるといいます。

そして、そのイルカ自身も
漁の犠牲となってしまうのです。

そうしたイルカの性質を知れば、
可哀想なことをしているようにも
思えてきますね・・・。

イルカの追い込み漁は残酷?

太地町のイルカ漁が
批判される理由の中には、
「漁のやり方が残酷だ」という
意見もあるようです。

太地町では昭和の初め頃から
「追い込み漁」という手法で
イルカを捕獲しています。

音に敏感なイルカの習性を利用して
漁師さんたちが複数の漁船から
金槌を打ち鳴らして入り江に追い込み、
そこを網で捕獲するのだそうです。

・・・この説明だけでは
そこまで残酷さは伝わりませんよね。

では、こちらの動画をご覧ください。

いかがでしたでしょうか?

イルカの体に銛が突き立てられる様子や
血で真っ赤に染まる海を見て、
筆者も言葉を失ってしまいました。

捕殺の瞬間に涙を流すイルカを
目にしたという漁師さんもいるそうです。

やはり恐怖を
感じているのでしょうか・・・。

ただし、太地町では
映画『ザ・コーヴ』の公開以降、
追い込むスピードを緩めたり

大きな群れは追わないなど、

イルカに極力ストレスを与えないよう
様々な工夫をしながら
漁を行っているそうです。

イルカの漁はなぜやめないの?

先ほどの動画を見て、
「なぜ太地町ではこのような残酷な漁を
続けているのだろう・・・?」
感じた方もいらっしゃるでしょう。

かつて主要捕鯨国と言われた欧米諸国も
すでに捕鯨産業から撤退していますし、

今や経済大国となった現代の日本で
わざわざイルカを捕って食べる必要は
ないように思いますよね。

これについて、
和歌山県は以下のような見解を
HPに掲載しています。

日本においては、経済活動の中心から遠く離れた離島や半島、奥深い山村では、鯨やイルカ肉、その保存食が貴重なタンパク源とされてきました。今なお、鯨やイルカの肉が伝統食の重要な一部となっている地域が全国に散在し、また、その地域の出身者や小学校の給食で食べた思い出のある人々はその味を楽しみ、買い求めています。このようなことを、他の食べ物があるからという理由だけで、「やめるべき」と言えるのでしょうか。
大量に流通、販売されているものではありませんが、現に今でも需要はあります。そして、鯨やイルカを捕獲して生活をしている漁業者は、その需要に応えているのです。捕鯨やイルカ漁をやめろと言うのは、この漁業者たちに自分たちの生活を捨てよと言うのと同じです。

出典:https://www.pref.wakayama.lg.jp/

太地町に暮らす人々にとって
イルカ漁は地域文化であり、
生活の糧でもあるということですね。

イルカ漁をやめることによって
生活が脅かされる人たちも
少なからずいるのです。

イルカの漁業被害は甚大?

また、イルカ漁は
地元の人々が食料として食べたり
水族館などに出荷する以外に、

「駆除」を目的として
行われることもあるようです。

日本近海に生息するイルカは、
主にアジやサバ、イワシなどの小魚や
イカやタコ、カニなどを捕食します。

つまり、地元漁師さんにとって
貴重な水産資源を食べてしまうのです。

イルカによる漁業被害は
年々深刻化しつつあり、
被害額は年間数億円にものぼる
言われています。

漁師さんたちの生活と
私たち一般市民の食卓を守るためには、
ある程度数を減らす行動も必要なのです。

まとめ

今回の記事では、
国際的な議論を巻き起こした
和歌山県の「イルカ漁」について
お話してまいりました。

水族館では愛嬌たっぷりの姿で
私たちに癒しと笑顔を与えてくれるイルカ。

そんな可愛いイルカたちが
漁の犠牲になってしまうのは
可哀想なことではありますが、

地域に暮らす人たちの生活や
漁業被害の実情などを考えれば、
すべてに対して否定的になるべきでは
ないのかもしれません。

さて、皆さんは
どう感じましたでしょうか?

今後の動向に注目していきたいですね。

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イルカ好きさんはぜひ
こちらの記事も併せてご覧ください。

 


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