多くの熱帯魚のように卵ではなく
いきなり稚魚を産むという
ユニークな繁殖形態をもつことで
知られるプラティ。
”卵を採って孵化させる”という過程がないぶん
繁殖の難易度は高くありませんが、
産まれたての稚魚はとても小さいため
水槽内で産まれたのをそのままにしておくと
成魚の餌となってしまう恐れがあります。
繁殖で数を増やしたい飼い主さんとしては
せっかく産まれた稚魚が
食べられてしまうのは困りますよね。
そこで今回の記事では、
プラティの稚魚が食べられるのを防ぐために
知っておきたい「隔離」の方法や
稚魚の育て方についてご紹介します。
これからプラティの繁殖にトライする方は
ぜひ参考にしてみてください!
プラティの稚魚は隔離しないと死ぬの?
冒頭でも触れたように、
プラティは親魚のお腹の中で卵が孵り
稚魚の状態で産まれてきます。
稚魚はある程度の大きさに育っており
最初から食べられる餌も豊富なため、
成魚まで育てることは難しくありません。
ただ、産まれたばかりの稚魚は
まだ体が小さいので、
成魚や他の混泳魚と一緒にしておくと
餌と間違えられて食べられてしまったり
体をつつかれたりして
多くの個体が死んでしまいます。
そのため、確実に稚魚を成長させて
数を増やしたいという場合には、
成魚の口に入らない大きさに育つまで
別の容器に隔離して飼育するのが
一般的な方法です。
プラティの産卵!隔離方法を紹介
プラティーは一回の出産で
30~50匹もの稚魚を産むため、
稚魚を1匹ずつ捕まえて
隔離箱に移動するよりも、
親魚を隔離箱の中で出産させて
すべて産み終わったら
親魚だけを本水槽に戻す方が簡単です。
プラティーのメスは出産が近くなると
見た目や行動に次のような変化が出てきます。
- お腹がパンパンに膨らむ
- 肛門のあたりが黒ずんでくる
- 水槽の壁面に沿って上下に泳ぐ
- 底でじっとして動かない
- 他魚を嫌がる仕草をする など
このような兆候があらわれたら、
すみやかに隔離箱に移動させましょう。
普段との違いにすぐ気付けるよう、
日頃からプラティーたちの様子を
しっかり観察しておきたいですね。
プラティの隔離箱はどこで買える?
稚魚を隔離して育てるための容器は、
各メーカーから販売されている
隔離箱(産卵箱)を使うと良いでしょう。
市販の隔離箱の多くは
上下の二層構造になっており、
産み落とされた稚魚は
仕切り部分のスリットを通って
下層部へと入っていくので、
産まれた直後に親に食べられてしまう
心配がありません。
隔離箱は大きく分けて2種類、
本水槽の内側に取り付けるタイプと
外側に取り付けるタイプがありますが、
基本的に自分の使いやすい方を
選んで構わないでしょう。
以下にそれぞれのメリット&デメリットを
まとめてみましたので、
選ぶ際の参考にしてみてくださいね。
メリット | デメリット | |
水槽の内側に 設置する タイプ |
本水槽と飼育水を 共有できるため 水温を管理しやすい |
水槽内が狭くなり レイアウトにも 影響する |
水槽の外側に 設置する タイプ |
水槽を広く使えて レイアウトの 邪魔にならない |
水温が安定しにくい (特に冬場) |
なお、いずれのタイプも
アクアショップやホームセンター、
通販サイトなどで入手可能です。
プラティの稚魚は成長が早い?
出典:https://www.otsuka-nettaigyo.com
プラティの平均的な寿命は約1年、
長くても2年ほど。
そのため、稚魚の成長速度も早く
生後1ヶ月で2cm、
2ヶ月で3cm前後まで育ちます。
この頃の実際の大きさは、
以下の動画がわかりやすいですよ。
成魚に食べられてしまう心配は
そろそろなくなりそうな大きさですが、
それでもまだ小さいですよね。
しかし、生後4か月を過ぎる頃には
成魚と変わらないくらいのサイズまで
成長する個体も出てくるでしょう。
生後5ヶ月頃には性成熟期を迎え、
繁殖が可能になります。
そして寿命を迎えるまでの
およそ半年間のうちに
何度も出産を繰り返し、
子孫を残そうとするのです。
稚魚の成長については
こちらの記事で詳しく解説していますので、
よろしければ参考にしてみてください。
プラティの稚魚!餌はいつから食べていいの?
多くの熱帯魚の稚魚は、
お腹に「ヨークサック」と呼ばれる
栄養が詰まった袋を持っており、
孵化してから3~4日の間は
この袋の栄養を消費して過ごすため
餌を与える必要はありません。
しかし、プラティの稚魚は
親魚のお腹の中にいる間に
袋の栄養をほぼ使い切っているので、
給餌は産まれたその日から開始します。
なので、繁殖に挑戦する際は
あらかじめ稚魚が食べる餌を
用意しておくようにしましょう。
プラティの稚魚は
他の熱帯魚に比べて体が大きいので
成魚用の餌でも細かく潰せば
食べることができますが、
将来的な体格や体色の美しさは
稚魚期の栄養状態が大きく影響するため、
できれば栄養価の高い稚魚用の餌を
与えることをおすすめします。
なお、稚魚期の給餌については
こちらの記事で詳しく解説していますので
ぜひ併せてご覧ください。
プラティの稚魚の飼育!温度の適温は?
稚魚期のプラティは
成長のためにより多くの栄養を
摂取する必要がありますが、
水温が低いと体の活性が低下し
餌を食べられなくなってしまうので、
温度管理はしっかり行いましょう。
特に水槽の外に設置するタイプの隔離箱は
水温が安定しにくいので気を付けてください。
プラティの飼育に適した水温は、
一般的な熱帯魚と同じ23~28℃。
常に水温を把握しておけるように
水温計を用意しておくと良いですよ。
稚魚の飼育に適した水槽環境の作り方は、
こちらの記事でも詳しく解説しています。
ぜひ合わせてご覧ください。
まとめ
今回の記事では、
プラティの稚魚の隔離方法や
育て方について解説してまいりました。
プラティの稚魚は
成魚に捕食される前に隔離することで
生存率を上げることが可能です。
初期試料の選択肢も豊富なので、
その後のお世話もしやすいでしょう。
しかし、稚魚が死ににくいということは
”予想以上に増えてしまう恐れがある”
ということでもあります。
水質悪化を早める過密飼育は、
プラティたちにとって
決して良い環境とは言えません。
繁殖は自分の水槽環境に合わせて
計画的に行うようにしてくださいね!