水槽の中に様々なアイテムを配置して、
様々な水景を創り出すことができるのも
アクアリウムの魅力のひとつ。
そんなアクアリウムのレイアウトに
「水草」は欠かせません。
しかし、一口に水草と言っても
たくさんの種類があり、
初めて水草を使ったレイアウトに
挑戦しようとしている方は、
どれを選んだら良いか
迷ってしまうことでしょう。
そこで今回の記事では、
アクアリウムの水草の中でも
特に人気の高い種類をピックアップして
10種ご紹介したいと思います。
それぞれの特徴や
育成のポイントなどについても
解説していますので、
ぜひ参考にしてみてください!
①アヌビアス
出典:https://www.shopping-charm.jp/
- 草姿:活着系
- pH:5.0~7.5
- 水温:20~28℃
- 光量:蛍光灯1灯以上
- CO2:なくても可
アヌビアスはアフリカに生息する
サトイモ科の水草です。
非常に丈夫で適応可能な水質も幅広く
光量やCO2も必要としないため、
水草育成初心者さんの入門種としても
知られています。
アヌビアスと名のつく水草は
現在流通しているだけでも
数十種もの多くの種類が存在しますが、
中でももっとも有名なのは
写真の「アヌビアス・ナナ」。
より明るい葉色をもつ「ゴールデン」や
さらに小型化した「プチ」など、
改良種も多く出回っています。
飼育難易度としては
どの種類もさほど変わらないので、
レイアウトのイメージや
水槽のサイズに合わせて
好みの種類を選ぶと良いでしょう。
アヌビアスの仲間は
着生する性質があるため、
石や流木などに活着させて
育てていきます。
基本的に丈夫で
育てやすい水草ですが、
生長が非常に遅いので
コケの発生には注意しましょう。
エビ類やオトシンクルスなどの
コケ取り生体を一緒に飼育すると
予防できると思います。
また、アヌビアスの仲間は
購入時に農薬が付着しているケースが
多いようです。
農薬が付着したものをそのまま投入すると
特に薬品類に敏感なエビ類などは
命を落とすこともありますので、
購入する際には
残留農薬の処理が行われたものかどうか
しっかり確認してくださいね。
②ウィローモス
出典:https://www.shopping-charm.jp/
- 草姿:コケ類
- pH:5.0~7.0
- 水温:10~28℃
- 光量:蛍光灯1灯以上
- CO2:なくても可
水槽レイアウトの定番種として
知られるウィローモス。
アクアリウム初心者さんも
一度は耳にしたことがある
名前ではないかと思います。
活着する性質を活かして
石や流木などに巻き付けて
レイアウトに使用されることが多く、
その深みのある緑が織りなす茂みは
まさに”苔生した”という言葉がぴったり。
森の奥深くや趣のある日本庭園風の
レイアウトを目指す際には
ぜひ使用したい水草の一つです。
ウィローモスが主役のレイアウトなら、
光量・肥料分とも抑え気味にしたほう方が
うまく生長してくれます。
より美しく育てたい場合は
若干のCO2添加(1滴/3秒~)を
行うと良いでしょう。
また、ウィローモスが作り出す茂みは
生体の隠れ家や産卵床としても最適です。
軽くほぐしたウィローモスを
水槽に投入しただけで
繁殖の成功率が高まったという
例もあるそうですので、
ご自宅でブリーディングを目指す方も
ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
③グロッソスティグマ
出典:https://www.shopping-charm.jp/
- 草姿:有茎草
- pH:5.0~7.0
- 水温:20~28℃
- 光量:蛍光灯3灯以上
- CO2:1滴/3秒(60cm水槽)
水草水槽の前景草の大定番といえば、
このグロッソスティグマでは
ないでしょうか。
パールグラスやウォーターローンなど
底床を埋め尽くす”緑の絨毯”を
作ってくれる水草は多数ありますが、
中でもグロッソスティグマは
もっとも育成が容易で
初心者さんでも成功しやすいと
言われています。
きれいな絨毯をつくるコツは
「高光量」と「CO2添加」。
光が弱い環境では縦に長く伸びてしまい、
絨毯としての見栄えが悪くなります。
CO2添加なしでも育成はできますが、
添加したほうが生長が早く
葉の色・ツヤもより美しくなるので
できれば添加して育てたいところです。
ただし、光が不足している環境で
CO2を過剰に添加してしまうと
うまく育たないことがあるため、
それぞれのバランスに注意しましょう。
また、葉と葉が重なり合っていると
下の方の葉にまで光が行き届かず
枯れてしまう場合があります。
植栽の際は隙間なく植えるのではなく
ある程度の間隔をあけるようにしてください。
生長後も葉が重ならないように
定期的なトリミングが必要です。
④クリプトコリネ
出典:https://www.shopping-charm.jp/
- 草姿:ロゼット型
- pH:5.0~7.0
- 水温:20~28℃
- 光量:蛍光灯2灯以上
- CO2:なくても可
クリプトコリネは
東南アジア原産の水草です。
色形やサイズの
バリエーションが非常に豊富で、
現在は亜種まで含めると
100種以上の種類が
確認されているといいます。
種類によって飼育難易度が異なるので、
初心者さんは以下に挙げたような
比較的育てやすいとされる種類から
挑戦してみると良いでしょう。
【初心者向け・クリプトコリネの種類】
- クリプトコリネ・ウェンティ
- クリプトコリネ・ルーケンス
- クリプトコリネ・バランサエ
- クリプトコリネ・パルヴァ など
クリプトコリネは陰性植物なので
強い光量を必要とせず、
CO2添加を行わなくても生長します。
一方、水質の変化には敏感で、
特に植栽直後や大量の水換え後は
葉が溶けるように落ちてしまうことも。
多くの場合は
新たな環境に適応しようと
再び葉を展開していきますが、
弱っている株の場合は
根茎まで溶けてしまうことがあるため
環境の急変は極力抑えましょう。
⑤ミクロソリウム
出典:https://www.shopping-charm.jp/
- 草姿:シダ
- pH:0~14.0
- 水温:20~28℃
- 光量:蛍光灯1灯以上
- CO2:なくても可
ミクロソリウムは
東南アジア原産の水生シダの仲間です。
環境適応力が非常に高く
光量・水質ともに適応範囲が広いので、
水質管理にあまり慣れていない
初心者の方でも育てやすいでしょう。
ただし、本来のサイズである
草丈30cmほどまで育てたい場合は
高光量とCO2添加が必要です。
ミクロソリウムは生長が遅いため
トリミングの面では手間がかかりません。
しかし、そのぶんコケが発生しやすいので
エビ類などを一緒に飼育して
コケを予防すると良いでしょう。
また、底砂に植え込むと
根茎の通水性が悪くなり
枯れてしまうことがあるため、
石や流木などに活着させたほうが
うまく育ってくれます。
もう一つ、
ミクロソリウムを育てるうえで
気を付けたいのが「シダ病」です。
この病気にかかると、
葉が茶色くなって一気に枯れてしまいます。
特に28℃を超える高水温になると
発生する可能性が高くなるので、
夏場はクーラーを設置するなどして
対策を施しましょう。
⑥アナカリス
出典:https://www.shopping-charm.jp/
- 草姿:有茎草
- pH:6.0~7.5
- 水温:20~28℃
- 光量:蛍光灯1灯以上
- CO2:不要
アナカリスも
アクアリウムの定番種として
よく知られている水草です。
メダカや金魚などの水槽で、
その草姿を目にしたことがある方も
多いのではないでしょうか。
マツモやカボンバなど
一般的に”金魚藻”と呼ばれる水草の中でも
アナカリスは立体感があるので
レイアウト水槽にも最適です。
その透明感のあるライトグリーンの葉は
水槽全体の印象を明るくしてくれます。
また、アナカリスは
非常に丈夫で育てやすいことも
魅力のひとつ。
他の水草では枯れてしまうような
低水温や低光量下でも、
アナカリスは元気に育ってくれます。
CO2添加も不要で、
生体と一緒に飼育するのであれば
追肥の必要もありません。
トリミングにも強く、
カットした部分を差し戻しすれば
増やすことも可能です。
水草を初めて育てる方には
うってつけの種と言えるでしょう。
⑦アマゾンチドメグサ
出典:https://www.shopping-charm.jp/
- 草姿:ロゼット型
- pH:6.0~7.5
- 水温:20~28℃
- 光量:蛍光灯2灯以上
- CO2:なくても可
丸みのある可愛らしい葉をつける
アマゾンチドメグサ。
原産地である南米では、
その名のとおり”血止め”として
重宝されていたといいます。
水面に浮かんだ状態で育つ
浮遊性の水草ですが、
根を底砂に深く差し込めば
沈水で育てることも可能です。
水中から直接養分を吸収するので、
水槽立ち上げ直後の水質の安定化や
コケの抑制を目的として
使用されることもあります。
もちろんレイアウト性にも優れており、
その爽やかなライトグリーンの葉は
水草水槽のアクセントに最適です。
非常に丈夫で生長が早く、
光量や肥料、CO2のバランスが取れた
好環境で育てると爆発的に増えることも。
水面を覆いつくすほど生長してしまうと
他の水草の生長の邪魔になるので、
適度にトリミングを行いましょう。
⑧アマゾンソード
出典:https://www.shopping-charm.jp/
- 草姿:ロゼット型
- pH:5.0~7.5
- 水温:20~28℃
- 光量:蛍光灯2灯以上
- CO2:なくても可
アマゾンソードは
その名のとおり南米原産の水草です。
丈夫で育成が容易にできることから、
初心者さんの入門種としても
知られています。
かなり大きく生長するので、
後景草として使用するのはもちろん
中央に配置してダイナミックなレイアウトを
楽しむのも良いでしょう。
葉の隙間を隠れ家にした小型魚たちが
見え隠れする様子は非常に見応えがあります。
反対にそこまで大きくしたくない場合は
光量と肥料を抑えめにして育てるか
外側の古い葉を定期的にカットすると
良いようです。
また、アマゾンソードは
ランナー(匍匐茎)を出して
子株を増やしていきます。
適当な場所でカットして
好きな場所に植え直すことも可能ですが、
頻繁に植え替えをすると株が弱って
枯れてしまうことがあるので注意しましょう。
⑨グリーンロタラ
出典:https://www.shopping-charm.jp/
- 草姿:有茎草
- pH:5.0~7.0
- 水温:20~26℃
- 光量:蛍光灯3灯以上
- CO2:なくても可
グリーンロタラは
アクアリウムのレイアウトに
使用される有茎草の定番種です。
だいたいどこのアクアショップでも
販売されているので入手しやすく、
価格も安価(1本50~100円前後)。
丈夫で生長が早く、
水質にもそこまでうるさくないので
初心者さんも育成しやすいでしょう。
ただし、レイアウト水槽でよく見られる
緑鮮やかな茂みを作りたい場合には
高光量とCO2添加が必要です。
ロタラ系の水草は
水上葉の時と水中葉の時とで
草姿が大きく違うのが特徴で、
水上では丸みのある
可愛らしい葉をつけますが、
水中に入れると数日~1週間ほどで
写真のような細い葉になっていきます。
初めて育てる際は水上葉を購入して、
草姿が変わっていく様子を
観察してみるのも面白いでしょう。
また、グリーンロタラはトリミングにも強く、
カットした部分を差し戻しすれば
簡単に増やすことができます。
カットと差し戻しのやり方は
こちらの動画を参考にしてみてください。
水中葉→水上葉への移行も可能なので、
差し戻しをしても余った場合は
テラリウムやビオトープで
育てて楽しむのもおすすめです。
⑩スクリュー・バリスネリア
出典:https://www.shopping-charm.jp/
- 草姿:ロゼット型
- pH:6.0~7.5
- 水温:16~28℃
- 光量:蛍光灯2灯以上
- CO2:なくても可
スクリュー・バリスネリアは
”ネジレモ”という和名を持つ
日本産の水草です。
もともとは琵琶湖の固有種でしたが、
現在では東南アジアをはじめとした
様々な地域で栽培されたものが
多く流通しているようです。
その名のとおり、
テープ状の葉がねじれるようにして
生長していくのが特徴で、
このねじれをより強くしたい場合は
多めの光量とCO2添加が必要になります。
現在日本に流通している水草の多くは
弱酸性の軟水を好む傾向がありますが、
スクリュー・バリスネリアは
中性~弱アルカリ性の中硬質を好みます。
そのため、
水質を弱酸性に傾けるソイルよりも
大磯砂などアルカリ性に傾ける底砂のほうが
うまく生長してくれるでしょう。
生長に適した環境で育てていると、
ランナー(匍匐茎)を盛んに出して
どんどん増えていきます。
密生させたレイアウトを目指す場合は
ランナーを定期的にカットして
好みの場所に植え直すと良いですね。
まとめ
今回の記事では、
アクアリウムの水草の中でも
特に人気の高い種類を
10種ご紹介してまいりました。
今回ご紹介した水草は
比較的育成が容易なものばかりですので、
初心者さんはこの中から選んで
育ててみると良いでしょう。
⇒アクアリウムの水草のレイアウト! 初心者におすすめの育て方とは?
なお、水草を使ったレイアウト方法や
基本的な育成方法については
こちらの記事でも解説していますので、
ぜひ併せてご覧ください。
素敵な水草水槽が完成すると良いですね!