孵化後間もない稚魚の間は、
メダカ飼育の中でも最難関と言われる時期。
メダカの稚魚は非常に繊細で、
ちょっとしたことでも
簡単に命を落としてしまいます。
メダカ飼育初心者の皆さん、
「川や田んぼでも育つくらいだから、
家でも簡単に大きくなるでしょ~」
なんて思っていませんか?
軽い気持ちで飼育に挑むと、
せっかく孵化させた稚魚が
一瞬にして全滅・・・という
悲しい事態にもなりかねません。
そこで今回の記事では、
メダカの稚魚の育て方について
詳しく解説したいと思います!
メダカの稚魚の育て方!初心者が知っておくべき5つの事をご紹介!
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稚魚の育て方として、
今回ぜひ覚えていただきたいのは
次の5つです。
- 稚魚専用の容器で育てる
- 稚魚専用の餌を与える
- 水の温度を適正に保つ
- 水換えには気をつける
- 成魚になるまでの過程を知っておく
この5つのことを意識して
お世話をするだけでも、
稚魚の生存率は大幅にアップするはずです!
では、それぞれについて
ひとつずつ詳しく解説していきますね。
⒈稚魚専用の容器で育てる
メダカは基本的に雑食で、
口に入る大きさのものは
何でも食べるという習性があります。
たとえそれが、
自分や仲間が産んだ卵であっても
稚魚であっても・・・です。
そこで、せっかく孵化した稚魚が
餌にされてしまわないよう、
しばらくは成魚とは別の
稚魚専用の容器で飼育します。
専用の容器といっても、
特別なものを用意する必要はありません。
水深3cmほどあるものならば、
使っていないタッパーや
グラスなどでも十分です。
ただ、水量が少ない容器は
どうしても水が汚れやすいので、
初心者さんには管理が大変です。
可能であれば虫カゴほどの大きさの
プラケースを用意できると良いですね。
最近では100円ショップでも
このような立派な虫カゴが手に入るので、
ぜひ活用してみてください。
また、1つの容器に
多数の稚魚を入れて飼育するのも
水質を悪化させる原因になるので、
稚魚の成長段階ごとに
容器を分けてあげると安心です。
⒉稚魚専用の餌を与える
孵化したばかりの稚魚は、
お腹のところについている
「ヨークサック」と呼ばれる袋から
栄養分を摂取しています。
給餌を始めるのは、
ヨークサックがなくなる
孵化後3日目あたりから。
ただ、稚魚の口はとても小さいので、
成魚と同じ餌では粒が大きすぎて
食べることができません。
こちらの画像のように、
すり鉢などで細かくすり潰して
粉末状にしてから与えるという
飼育者さんも多いのですが、
実はこの作業、
なかなか大変なんですよね・・・。
そこでおすすめなのが、
市販の稚魚用フードです!
出典:https://www.kyorin-net.co.jp/index.html
最初から粉末状になっているので、
すり潰す手間がありません。
稚魚の餌の与え方は、
「少量ずつ・こまめにあげる」のがポイント。
1回1~2分で食べきれるくらいの量を、
1日5回くらいに分けて与えましょう。
稚魚の給餌方法については
こちらの記事で詳しく解説していますので、
ぜひ併せてご覧ください。
⒊水の温度を適正に保つ
メダカはもともと、
非常に生命力の強い魚。
真夏の炎天下の下でも
氷の張った水の底でも
生き抜くほどですが、
孵化したばかりの稚魚は
そこまで強くはありません。
特に低水温下では、
うまく成長できないまま
命を落とすこともしばしば。
野生のメダカも、
夏以降に孵化した稚魚の多くが
冬を越せずに死んでしまうのだそうです。
稚魚が育つために最適な水温は
25℃前後とされています。
また、水温が急激に変化する環境も
稚魚には良くありません。
特に水量の少ない水槽は、
直射日光や朝晩の寒暖差によって
水温が変動しやすいので注意が必要です。
⒋水換えには気をつける
メダカの稚魚は
環境の変化にとても弱いので、
孵化した時の水質をできる限り維持して
飼育するのが望ましいとされています。
したがって、
水換えは極力避けたほうが良いのですが、
水面に油膜が張っているなど
明らかに水質が悪化している場合には
水換えを行います。
水換えの際には、
稚魚の負担にならないように
次のことに気を付けましょう。
- カルキをしっかり抜いておく
- 換える水の量は多くても1/3
- 水温が急変しないように調整する
- 換水時は水流が起こらないように
こちらの記事でも解説していますが、
稚魚はわずかな水流でさえも
体力を消耗してしまいます。
水換えの作業をする際は
できる限り静かに
そっと行うようにしましょう。
また、油膜が張っている場合は
稚魚が酸欠に陥ってしまう恐れがあるため、
ティッシュペーパーを水面に浸すなどして
除去してあげてください。
⒌成魚になるまでの過程を知っておく
稚魚がどのように成長していくのか、
その過程を知っておくことも
うまく育てる秘訣のひとつです。
孵化してからの日数ごとの特徴や、
飼育上の注意点をまとめてみました。
孵化後の 日数 |
特徴 |
0日 ~2日 |
体長わずか4~5mmほどと小さく、 お腹につけた栄養袋を消費するため、 |
3日 ~14日 |
もっとも死亡率が高く、 主な死因は次の4つ。
特に給餌には細心の注意が必要。 |
15日 ~1ヶ月 |
ようやくメダカらしい外見に。
捕食や餓死などの危険が減り、 |
1ヶ月半 |
成魚の半分~2/3ほどの 成魚と同じ水槽での飼育も可能。 |
表からもおわかりいただけるとおり、
稚魚を立派な成魚へと育て上げるには
孵化~2週間の「針子」と呼ばれる時期が
いちばんの勝負どころとなります。
ただ、ここを無事に越えることができれば
死亡率はグッと低くなりますから、
初心者さんもどうか頑張ってみてください!
メダカの稚魚の生存率をあげるためのポイントとは?
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繰り返しますが、メダカの稚魚は
孵化~2週間までは死亡リスクが高く、
もっとも飼育が困難な時期です。
この期間を無事に乗り越えるためには、
「いかにうまく給餌ができるか」が
重要なポイントとなります。
稚魚が成長するためには
多くの栄養を摂取する必要がありますが、
まだ胃袋が小さいために
1度に大量の餌を食べることはできません。
そのため、餌は少量ずつ数回に分けて
与えるのがベストなのですが、
中には仕事や家事などの都合で
どうしても難しいという方もいますよね。
また、こまめに給餌を行った場合でも、
稚魚の口には大きすぎる餌であったり
稚魚同士が餌の取り合いをしていたりで、
十分な量を食べられていないことも。
実際、稚魚の死因のうち
もっとも多いのは「餓死」なのだとか・・・。
そこでおすすめしたいのが、
「グリーンウォーター」での飼育です!
出典:http://tokuze.livedoor.biz/
グリーンウォーターとは、
植物性プランクトンが大量発生して
緑がかった状態になった水のこと。
水中には植物性プランクトンを捕食する
動物性プランクトンもいます。
あちこちに浮遊するプランクトンは、
メダカたちにとっての”ご馳走”。
つまり、グリーンウォーターの中にいれば
稚魚は好きな時に好きなだけ
食べることができるのです!
「時間無制限で食べ放題」とは、
まるで天国ですね(笑)
もちろん餌不足が原因で
死ぬこともなくなりますから、
これだけでも生存率は高くなります。
グリーンウォーターの作り方は、
こちらの記事を参考にしてみてください!
メダカの稚魚におすすめの水草はある?
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稚魚のうちはこまめな水換えができないため、
水をきれいにする効果のある水草を
一緒に入れておくと安心です。
初心者さんならば、
「ウィローモス」や「ホテイアオイ」が
育てやすいでしょう。
出典:https://www.shopping-charm.jp/
ホテイアオイは、メダカ水槽の大定番。
夏には白や紫色の美しい花が咲き、
鑑賞用としても人気です。
もじゃもじゃとしたヒゲ状の根の部分は、
稚魚の隠れ場所にもなります。
出典:https://www.shopping-charm.jp/
ウィローモスは
その名のとおり苔の仲間で、
丈夫で繁殖力が強いのが特徴です。
水中に漂わせるだけでなく
流木や石などに巻き付けることもできるので、
稚魚が無事に成長したら
水槽レイアウトに活用するのも良いですね!
メダカの稚魚の冬越しで注意するべき点は?
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メダカの稚魚は成長がとても早く、
孵化からおよそ3ヶ月後には
成魚の仲間入りを果たします。
メダカの産卵期は
だいたい5月~9月頃までですから、
8月頃までに孵化した稚魚であれば
秋には十分大きくなっているので、
冬越しの心配はほぼないでしょう。
問題なのは、9月になって孵化した
未成熟な稚魚たちです。
先ほどお話したように、
小さくてか弱い稚魚のままでは
冬を越すことはできません。
厳しい寒さに耐えうるだけの
体力を持ち合わせていないのです。
したがって、稚魚の冬越しは
「食欲が衰えはじめる10月頃までに
どれだけ成長させられるか」が
重要なポイントとなります。
メダカは秋になると
水温の低下とともに動きが鈍くなり、
餌を食べる量も減ってきます。
(この時期にむりやり餌を与えても、
食べてくれません・・・。)
それまでにしっかりと給餌して成長を促し、
冬越しへ向けて体力をつけてあげましょう。
メダカの稚魚にヒーターは必要?
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こちらも先ほどお話したように、
稚魚の成長にはある程度の水温が必要です。
メダカは水温が低いと
餌の食い付きが悪くなります。
これは稚魚も同じで、
餌をたくさん食べなくてはならない時期に
食べられないとなると、
順調に成長することができません。
また、
昼間は暖かいのに夜は冷え込む、といった
寒暖差も稚魚には負担となります。
特に、春先や秋に孵化した稚魚は
寒暖差の影響を受けやすいでしょう。
そんな時、役に立つのが「ヒーター」です。
こちらの写真のように
大きめの容器を利用して
「湯煎」のようにしてあげると、
1つのヒーターでいくつもの容器を
加温することができますよ。
また、ベストな水温(25℃前後)を
キープするために、
水温計も用意しておくと良いでしょう。
メダカの稚魚の水槽の掃除はしないほうがいいの?
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水槽内の水が汚れる主な原因は、
餌の食べ残しと糞です。
稚魚のうちは
こまめな水換えができませんので、
これらをスポイトや網などを使って
きれいに掃除してあげましょう。
この時、
誤って稚魚を吸い込んだり
傷つけたりしないように
くれぐれも注意してくださいね!
タッパーなどの小さな容器で飼育する場合は、
上の写真よりももっと小さなスポイトを
使ったほうが無難かもしれません。
また、掃除が終わったら
減った分の水を足しておきましょう。
新しい水を毎回足すよりも、
成魚の飼育水を足すようにすると
水質の変化があまりなく、
稚魚への負担を減らすことができます。
メダカの稚魚を屋外で飼育する場合に気をつけるべき事とは?
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メダカの稚魚を屋外で飼育する場合には、
外敵から捕食されないように注意が必要です。
最大の敵は、
蚊の幼虫である「ボウフラ」。
よく見るとこんな形をしています。
出典:http://shonanmedaka.blog.fc2.com/
メダカの成魚はボウフラを好んで食べますが、
小さな稚魚は反対に餌にされてしまいます。
稚魚の容器に網を被せたり
稚魚のうちだけ屋内で飼育するなどして、
ボウフラを寄せ付けない対策をしましょう。
もし発生しているのを見つけた場合は、
面倒ですがボウフラだけ掬いあげて
駆除してください。
稚魚のボウフラ対策については、
こちらの記事で詳しくご紹介しています。
まとめ
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今回の記事では、
メダカの稚魚の育て方について
詳しく解説してまいりました。
「こんなに大変なの?」と驚かれた方も
いらっしゃるかもしれませんね。
どんな生き物でも
生まれたばかりの赤ん坊というのは
何かと手がかかるもの。
しかし、苦労して育てるからこそ、
そのぶん愛着も強く湧くのです。
稚魚の時期は、ほんのわずか。
しっかりお世話をして、
一人前のメダカに育て上げてくださいね!